マーケティング戦略策定手順や役立つフレームワークを詳しく解説

コラム
マーケティング

自社の商品・サービスが持つ価値を、ターゲットへ効果的に訴求するにはマーケティング戦略策定が欠かせません。マーケティング戦略策定によって、社内リソースの有効活用や、スピーディーな軌道修正を実現しやすくなります。

この記事では、マーケティング戦略の概要を解説したうえで、マーケティング戦略策定の手順や、役立つフレームワークについてご紹介します。自社の商品・サービスに対する効果的なマーケティング戦略を策定したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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マーケティング戦略とは?意味と重要性

マーケティング戦略とは、「どのような顧客(ターゲット)に・どのような価値(ベネフィット)を・どのように提供するか」を決める取り組みです。この戦略は、自社の商品・サービスの購入や継続利用を促すために必要となります。

また、マーケティング戦略を策定するメリットは、4大経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を最適化して活用できる点です。特にヒトはその他の経営資源を有効活用するために不可欠なので、人的リソースは企業の生命線ともいえるでしょう。マーケティング戦略を策定することで、注力すべき業務を可視化しやすくなり、無駄なくリソースを分配できます。

近年は市場の不確実性が増しているため、予期せぬ事態が発生したり、市場が変化したりした場合にスムーズに軌道修正できることは、安定的な企業経営にとって重要なポイントです。

【5ステップ】マーケティング戦略策定の手順

ここからは、マーケティング戦略を策定する流れを5つのステップで見ていきましょう。

(1)環境を分析する

環境を分析する際は、社内の状況に関する「内部環境」と、自社を取り巻く「外部環境」の項目別に取り組むことがポイントです。それぞれの分析対象は以下のとおりです。

環境項目分析対象
内部環境・自社や商材の強み・弱み・過去の実績・確保できるリソース・現在までのマーケティング実績
外部環境・顧客の属性・課題・ニーズに関する情報・競合の商材・シェア率・マーケットのトレンド・政治・経済・世界情勢とマーケットに与えうる影響

上表のように、内部と外部の環境ごとに分析を行うことで、マーケティング戦略策定に向けて情報を整理しやすくなります。なお、環境分析に活用できるフレームワークについては後述するのでご参照ください。

(2)ターゲット・ペルソナを明確にする

次に、市場にいる顧客層のなかからターゲティングを行います。ターゲティングとは、自社の商品・サービスを訴求する顧客層を決める作業のことです。

あらかじめターゲットを決定しておくことで、顧客が求めるニーズを把握できるため、販売効率・成約率の向上が見込めます。

このとき注意したいのは、年代や性別などのざっくりとした属性で定めたターゲットは、精度が高いといえない点です。ターゲティングの精度を高めるためには、職業・居住地域・家族構成・趣味嗜好などを考慮した「ペルソナ」を設計することが大切です。

ただし、先入観や主観をもとにペルソナを設計してしまうと、実際のユーザーとかけ離れた顧客像が構築されてしまいます。ペルソナの設計時は、客観的なデータやユーザーインタビュー、営業担当者へのヒアリングをもとに作成しましょう。

(3)立ち位置を探る

市場全体における自社の立ち位置、目指すべき姿を探ることを「ポジショニング」といいます。ポイントは、競合他社に差をつける、自社の得意なポジションを見つけることです。

また「顧客が自社のポジショニングに共感してくれる」「商品・サービスとポジショニングに整合性がある」といったポイントも重要です。中長期にわたって自社の商品・サービスを安定的に提供するためにも、多角的な視点を持ち、ポジショニングの確度を高めましょう。

(4)提供すべき価値を見つける

立ち位置を決めたら、ターゲットにどのような価値(ベネフィット)を提供できるのかを検討して「バリュープロポジション」を見つけます。バリュープロポジションとは、「自社で提供可能な価値」かつ「顧客が求める価値」のうち、「競合他社が提供していない価値」のことです。

つまり、顧客にとって競合他社の商品・サービスでは得られない「唯一無二の価値」ともいえます。

特に近年は、ユーザーニーズが多様化していることから、ニッチな商品・サービスを提供する企業が増加している傾向です。しかし、本来の市場ニーズから外れたものを提供しても売上アップは期待できません。

バリュープロポジションであれば、「顧客が求める価値」という視点も備わっているため、ニーズに即した商品・サービスを提供しやすくなるでしょう。

(5)施策を立案・実行する

これまでのステップをもとに、「ターゲット・ベネフィット・提供方法」を最終決定します。特にベネフィットの提供については、顧客の視点を忘れないようにすることが大切です。

実際に施策に着手してからも、評価・改善を繰り返し、より良いものへとブラッシュアップしていきましょう。

とはいえ、手順どおりに進めてみても、分析や課題の洗い出しがうまくいかなかったり、時間がかかったりするケースもあります。そのような場合は、マーケティング戦略のコンサルティング会社に相談するのも一つの手です。

マーケティング戦略コンサルティングについては、ぜひ以下の記事もご参照ください。

マーケティング戦略コンサルティングの役割と活用法・注意点

マーケティング戦略策定に活用できるフレームワーク

続いて、マーケティング戦略策定の際に活用できるフレームワークを紹介します。環境分析や施策立案などの項目別に紹介するので、ぜひ参考にしてください。

環境分析に役立つフレームワーク

環境分析に役立つおもなフレームワークは、次の3つです。

PEST分析

外部環境を分析するフレームワークで、PESTは以下の要素の頭文字から取られています。

要素具体的な項目
Politics(政治)政策や法改正など
Economy(経済)経済水準や消費動向指数、賃金の改定など
Society(社会)人口動態やトレンド、生活者の習慣など
Technology(技術)AI技術やドローン技術、クラウド技術、マーケティングツールなど

上表のとおり、PEST分析ではビジネスに関係する4つの要素で外部環境を分析します。例えば、技術に関する要素でいうと、自社で活用できるマーケティングツールを選定することで、最適なプロモーション予算を組むといった対策につなげられます。

なお、PEST分析を行う際は、新聞をはじめとするマスメディアや業界誌などで、自社に関連するP・E・S・Tの情報を収集しましょう。

SWOT分析

SWOT分析の特徴は「内部環境/外部環境」および「事業のプラス要因/マイナス要因」の組み合わせで、次の4つに分類することです。

要素内容
Strength(強み)内部環境×プラス要因
Weakness(弱み)内部環境×マイナス要因
Opportunity(機会)外部環境×プラス要因
Threat(脅威)外部環境×マイナス要因

SWOT分析でポイントとなるのは、一つの事実がプラス要因にもマイナス要因にもなりえるため、どちらの枠にも設置しておくケースがある点です。例えば、海外資源で原材料をまかなっている場合、為替相場が円安であればコスト増の「脅威」になりますが、円高であればコスト減の「機会」へ変化します。

また、自社の強みについてはユーザーへアンケート調査などを行い、客観的な意見をもらうことで施策立案に役立てられます。

3C分析

3C分析とは、以下3つの要素の頭文字を取った分析手法です。

要素具体的な項目例
Customer(顧客・市場)顧客のニーズ・購買力・購買行動、市場規模、市場の推移
Competitor(競合)競合の特徴・売上、業界でのポジション、今後の展開
Company(自社)自社の戦略、経営理念、強み・弱み、リソース

上表のとおり、顧客のニーズや競合他社の強み・弱みといった外部環境とともに、自社の立ち位置も分析できるため、ポジショニングにも役立つフレームワークといえます。

ターゲティング・ポジショニングに役立つフレームワーク

ターゲティング・ポジショニングに役立つおもなフレームワークは、次のとおりです。

STP分析

STP分析は、以下3つの流れで構成されたフレームワークです。

  • Segmentation(セグメンテーション):市場を細分化する
  • Targeting(ターゲティング):狙うべきターゲット層を絞る
  • Positioning(ポジショニング):自社の立ち位置を明確化する

市場を細分化したうえで狙うべきターゲット層を絞り、最終的に自社の立ち位置を明確化するという流れです。先述のとおり、ポジショニングにおいては、自社ならではの立ち位置を見つけることが重要であるため、競合と比較する軸を忘れないようにしましょう。

具体的な比較軸としては、価格や品質、販売経路、店舗数が挙げられます。

施策立案に役立つフレームワーク

施策立案に役立つおもなフレームワークは、次の2つです。

4P分析

4P分析とは、「Product(商品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)」の4つの視点を用いたフレームワークのことです。企業目線で、自社の商品・サービスをいくらで、どのようなチャネルやプロモーションで提供するのかを決めるために用います。

例えば価格を決める際は、市場の相場価格を踏まえたうえで、自社としての利益が見込める戦略的な価格を設定する必要があります。

また、商品・サービスのコンセプトや自社のブランドイメージに合わせて、流通チャネルを多様化、もしくは限定的にするのも重要なポイントです。

4C分析

4P分析が企業目線で要素を洗い出すフレームワークであるのに対し、顧客目線で分析する手法を「4C分析」といいます。以下では、4C分析と4P分析における要素の対比を表しました。

4P分析の要素4C分析の要素
ProductCustomer Value(顧客にとっての価値)
PriceCost(顧客が費やすお金)
PlaceConvenience(顧客にとっての利便性)
PromotionCommunication(顧客とのコミュニケーション)

4C分析を行う際は、あくまで顧客目線での分析という目的から外れないように注意しなければなりません。4P分析としっかり使い分けることで、自社のマーケティング戦略策定に向けた、有意義なフレームワーク活用が可能となるでしょう。

まとめ

マーケティング戦略を策定すれば、自社のリソースを最小限に抑えながら、商品・サービスにおける販売促進の効果を高められます。分析やターゲット設定では守るべきポイントがあるほか、効率性を高める各種フレームワークの活用も不可欠です。

また、マーケティング戦略の実行後は、実際に与えた効果・影響を定期的に計測し、改善を図っていかなければなりません。マーケティング分析に活用できるMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)サービス「MAGELLAN(マゼラン)」なら、あらゆるマーケティング活動の売上影響を可視化できます。売上を最大化するための最適な予算配分もわかるため、自社におけるコスト削減効果も見込めるでしょう。

より高い有効性のマーケティング戦略をお求めであれば、ぜひ「MAGELLAN」の導入をご検討ください

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