なぜECにマス広告が必要か?成果につながる「確実性の高いテレビCM」の秘密を聞いてみた

コラム
インタビュー

本記事は、2022/05/31に「ECのミカタ」に掲載されました。


「テレビCMはROIが分析しにくく、予測も難しい」というのがこれまでの“常識”だが、データを活用することで成果につながる確実性の高いテレビCMが出稿できるとしたらどうだろうか?

データサイエンスのプロフェッショナル企業である株式会社サイカ ADVA事業部 IMS部部長 兼 IES部部長 古川 琢也氏に、本質的な事業成果の拡大に向けた打ち手を聞いた。

分析から実行まで客観的根拠を持ってサポート

―株式会社サイカとはどんな会社でしょうか?

古川氏:サイカは2012年の創業当初から、一貫してデータ分析をベースに事業を展開してきた、「データサイエンスのプロフェッショナル企業」です。

創業の背景として、代表の平尾が中学生時代に体験した「父親の勤める会社の倒産」がありました。その原体験から、「どうしようもない悲しみをなくしたい」という想いのもと、大学在学中に出会った統計分析をヒントとして、統計学と経済学をベースに企業を支援する事業を開始しました。過去の経験から、「勘と経験」だけに頼らない客観的な事実やデータに基づいた意思決定をすれば、企業は成長につながる、より良い選択ができると考えています。

サイカは世の中の課題に対して、「データ分析を民主化」し、マーケティングに関わるすべての人がデータに基づいて確信を持った戦略の立案・実行ができるようにすることをミッションとして掲げています。

―どのようなソリューションを提供されていますか?

古川氏:データサイエンスに基づくソリューションとして、大きく2つのソリューションを提供しています。ひとつは統合マーケティング分析ツールの「MAGELLAN(マゼラン)」です。マーケターの皆さまから「成果につながる」と、国内No.1の評価をいただいています。

もうひとつは、データサイエンスに基づいたプロモーションの戦略設計〜実行〜評価までを一気通貫で行う広告代理サービス、データ戦略型アドエージェンシー 「ADVA(アドバ)」です。

当社のソリューションの特徴は、いずれも「データサイエンス」を軸にしている点です。当社には、多くのデータサイエンティスト・データアナリストがいます。この10年間で蓄積された独自のノウハウとナレッジをもとに、分析だけでなく実行部分までデータに基づいて、客観的根拠を持ってサポートするという点が強みとなっています。

効果が可視化されたマス広告でマーケティングシナリオを進化

―そんなサイカ様から見て、EC市況を含めた広告市場はどのような状況でしょうか?

古川氏:ECサイトのように、Web上で来店者数や決済の多寡まで測れるビジネスにおいては、その数値をもとにクイックにPDCAを回せる相性の良さから、運用型広告に取り組んでいる事業者様が多いかと思います。

ところが、運用型広告は最適化を繰り返しているうちにいずれ頭打ちになってしまうという弱点があります。特に最近では、広告AIの進化により、最適化が進むことで、運用型広告のレッドオーシャン化を感じている事業者様や、規制を背景にしたクッキーレス対応など施策への制限も増える中で、先行きへの危機感を抱いている事業者様も多いのではないでしょうか。

「本質的な事業成果を拡大する」というゴールに向けてマーケティングを捉えたときに、避けて通れないのが「デジタル×マス」という課題です。

マス広告は大規模プロモーションの中核を担える施策であるにもかかわらず、「効果測定が曖昧」という理由から、活用に踏み切れない企業も少なくありません。特にEC事業者様の場合、数値を細かく見てスピーディーにPDCAを回していくというのが判断基準のベースになっているので、マス広告は「成果がわかりにくい怖いチャレンジ」になってしまっていますよね。

効果測定の曖昧さが従来のマス広告の課題ですが、我々は、効果が正しく可視化されたマス広告が、売上にコミットする施策として機能することにより、マーケティングシナリオを大きく進化させられると考えています。

マス広告が活用されていないEC業界だからこそ伸びしろが大きい

―オンライン広告中心で、テレビCM・マス広告を大々的に活用する文化がないEC業界で、なぜ今マス広告なのでしょうか?

古川氏:確かに、これまでEC業界でテレビCM・マス広告を活用しているのはごく一部の企業だけでした。我々は、本格活用が進んでいないからこそ、テレビCM・マス広告の活用によるEC業界の伸びしろは非常に大きいと見ています。

そもそもテレビCMは、大規模な商品プロモーションを行う際に、非常に有用性の高い媒体です。運用型広告だけではリーチできない層も含め、拡散量を担保することができます。また、「テレビCMで紹介されている商品」ということで、一定のユーザーからの信頼獲得にもつながります。

一方、テレビCMの課題は、「どれだけ売上につながったか」という定量判断が難しいことです。認知度などの調査による評価、出稿後のWeb反応や入電数などによる評価などがありますが、いずれも正確性に課題があります。

テレビCMの効果を、出稿後のWeb反応や入電数などで測っている企業でよくお聞きするのは、テレビCMの効果が肌感よりも過小評価されているのではないかということです。ただ、本来の効果を証明する手立てがないため、どうしても結果の見えやすいオンライン広告に偏ってしまうという実情があります。

一方のオンライン広告については、ボトムファネル寄りの施策になりすぎたあまり顕在層を刈り取りきるなどしてCPA高騰が続き、打ち手としてトップ・ミドルファネルを狙うべく認知施策に踏み切りたいと考えていても、効果を説明できないため実行に踏み切ることができず、悪循環に陥ってしまうというお悩みもよくお聞きします。

こういった状況に陥っているときこそ、しっかりとデータというエビデンスに基づいて、マス広告含めた全体のプロモーション設計ができれば良いのですが、定量的な根拠に基づいて判断できていない、意思決定の基準が持てないというのが1番の課題だと感じています。

クライアントが目標とする成果にコミット

―「定量的な根拠に基づいてプロモーション全体の設計ができない」という課題に対し、御社のADVAはどのようなアプローチができるのでしょうか?

古川氏:「マス広告は定量的な効果測定が難しい」という課題を解決するのが、当社の「ADVA」です。ADVAは、テレビCMやオンライン広告を含むプロモーションの戦略設計から実行、評価まですべてのプロセスにデータサイエンスを活用して、クライアントが目標とする成果にコミットすることができる、広告代理サービスです。

「成果にコミットできる」というのは、確実性高く、クライアントの目標成果を達成させるプロモーションを企画・実行できるということです。

広告業界では長年、広告代理店は経験や創造性、勘をもとに企画を提案し、クライアント側も自社で培ってきたリテラシーやナレッジ、成功体験をもとに判断するという構造がありました。つまり、成果が出るか出ないかはやってみないとわからないし、仮に成果が出たとしても何が良かったのかわからないため再現性を保てないという世界だったのです。

反対に、当社のADVAは戦略から実行まで、すべてのフェーズにおいてデータサイエンスを活用することで、どのフェーズにおいても客観的根拠のもと判断を下すことができ、確実性を高めていくことが可能です。

ADVAを細分化すると、次の4つのサービスがあります。

  • データサイエンスを活用した統合マーケティングコミュニケーション戦略の策定「ADVA STRATEGY(アドバ ストラテジー)」
  • 狙った成果を実現するクリエイティブを開発「ADVA CREATOR(アドバ クリエイター)」
  • 成果を最大化させるメディアプランニングを実施「ADVA PLANNER(アドバ プランナー)」
  • 業界初、成果報酬型のメディアバイイングを実現「ADVA BUYER(アドバ バイヤー)」

まず、行動データや意識データ、サイカ保有の分析ナレッジなどをもとに、業種・業態ごとに成果につながる戦略策定を行います。

クリエイティブ制作においては、脳波解析とデータサイエンスを組み合わせて成果につながるクリエイティブ要素を特定し、クリエイターのアイデアと掛け合わせることで、「認知獲得につながるクリエイティブ」「購入意向を上げるクリエイティブ」などを開発していきます。

さらにメディアプランニングにおいても、成果から逆算し、データサイエンスを使ってプランニングすることで、クライアントが求める成果に対して一番効率が良いメディアプランが実現できます。

しかも「戦略」「クリエイティブ」「メディア」という3つの大きなフェーズで出た成果を分析・評価し、今後に向けたPDCAを行うため、施策と成果をしっかりと関連づけたうえで再現性高く次の施策を計画できるのが特徴です。

実はADVAのメディアバイイングは、テレビCMの出稿マージンが成果報酬型※なのです。それだけ精緻な目標設定ができることの表れです。

※本サービスはメディアプランニング・バイイングを弊社で実施した場合の適用となります。また、出稿前後でデータ分析を行うため、一定の出稿ボリュームが必要になります(詳細はお問い合わせください)

プロフェッショナルな人材×データが強み

―従来の広告代理サービスとはまったく異なる要素の多いADVAですが、なぜこのようなサービスが実現できたのでしょうか?

古川氏:一言でいえば、サイカがデータサイエンスの会社だからです。データサイエンティスト・データアナリストなど、データに強いメンバーが揃っており、10年間で蓄積された独自のノウハウやナレッジをもとに、現在のサービス体制を実現しました。

サイカに入社して、私自身が面白いなと感じているのが、思いもしなかったデータ同士をつなぎあわせることで、次の施策の意思決定に生かせるような示唆出しができることです。当社の分析技術や分析結果から導き出す示唆は、他社には真似できない独自性があるものだと考えていますし、それを踏まえたソリューションには自信を持っています。

また、サポートする人の面では、内資・外資系の広告代理店出身者、経営企画・コンサル出身者、クリエイティブ制作のプロ、テレビ局出身者など、マーケティングに関わる各分野のプロフェッショナルが集まっているのも当社の強みです。プロフェッショナルな人材の基盤とデータの掛け合わせが、従来の広告代理店とは大きく違うところですね。

データというと無機質なイメージがあるかもしれませんが、データへの向き合い方や、「データをどのようにソリューションに落とし込むか」というデータに基づく論理性とクリエイティビティをミックスし、相乗効果を発揮するスタイルは、私から見ても非常に熱量が高いと感じます。

―最後に、EC事業者様へのメッセージをお願いします。

古川氏:ECサイトを運営しているとさまざまな課題に直面すると思います。ひと口に「EC」といっても「物流」「マーケティング」「お客様対応」など多岐にわたる中、我々は広告の成果にコミットすることにより、EC事業者様の課題解決をお手伝いできます。

ADVAを活用することで、「やってみないと成果が上がるかわからない」という不確実性のある広告を、「確実に成果を上げる」広告に変えることができます。

今まで見えていなかった課題を一緒に見つけることによって、データドリブンなマーケティングにつなげていっていただければと思います。

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