マーケティングの課題解決に必要なこと│よくある課題と解決策も紹介

コラム
マーケティング

マーケティング活動を行っていると、さまざまな課題に直面することもあるでしょう。その際、発生した課題を解決しようとしても、課題の焦点をきちんと抽出・特定できず有効な解決策を見いだせないというケースは少なくありません。

この記事では、マーケティングにおいて課題を特定する重要性やマーケティングの課題解決に必要なこと、解決のために必要な2つのステップについて解説します。併せて、マーケティングのよくある課題とその解決策についても紹介します。

マーケティング課題を特定する重要性

マーケティングとは、企業が抱えているさまざまな課題を解決し、自社商品やサービスがより効率的に売れる仕組みを作る施策を指します。この「さまざまな課題」を特定することは、解決策の模索はもちろん、前述の仕組みが正しく機能するために欠かせません。

したがって、課題の特定はマーケティングにおいて最重要項目です。そして、この課題を解決すべく立てられた施策は、そのままマーケティング戦略として機能するといっても過言ではないでしょう。

適切なマーケティング戦略を立てるためには、自社の目標や目的、達成したいと考えていることなどを明確化する必要があります。目的があいまいなままでは、解決すべき課題を正しく特定することが難しいためです。

マーケティング課題の抽出に必要なこと(1)内外環境の分析

マーケティング課題を抽出するためには、どのようなことが必要になるのかを見ていきましょう。まず紹介するのは、「内外環境の分析」です。

マーケティング戦略の立案や施行には、社内の技術や商品・サービス、人材、ノウハウや資産などの「内部環境」と、競合や見込み客、経済状況、政治、時代背景などの「外部環境」の分析が必要です。

内外環境の分析に役立つフレームワークとして、「SWOT(スウォット)分析」というものがあります。SWOTとは、「Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)」のそれぞれの頭文字を取ったものです。自社の内部環境、自社を取り巻く外部環境を上記の4つのカテゴリに分け、それぞれ要因を調査・分析し課題を抽出していきます。以下は、4つのカテゴリの詳細です。

・Strength(強み)

自社や自社商品の優れたところを分析します。内部環境において、プラスとなり得る要素です。

・Weakness(弱み)

自社や自社商品の劣るところ、改善が必要な部分を分析します。内部環境において、マイナスとなり得る要素です。

・Opportunity(機会)

自社や自社商品の強みが発揮できる社会や市場の変化を分析します。外部環境において、プラスとなり得る要素です。

・Threat(脅威)

自社や自社商品の障害となる社会や市場の変化を分析します。外部環境において、マイナスとなり得る要素です。

マーケティング課題の抽出に必要なこと(2)実データからの課題の特定

目的を達成するために解決すべき課題が何なのかある程度想定できている場合は、実データを活用することでマーケティング課題の特定が可能です。

例えば、「売上を最大化したい」という目的を持っている場合、まず売上を構成する要素(新規売上や既存の売上など)を細分化し、シンプルなグラフに起こしてみましょう。そのうえで、それぞれの要素の成果やコストを比較するのです。

比較の結果、「既存売上」が安定している一方で「新規売上」が下がっている場合は、「新規売上」を構成する要素をさらに細分化します(コンバージョン率や新規流入など)。そして、先ほどと同様にシンプルなグラフに起こし、それぞれの要素における成果やコストを比較します。

その結果、「新規流入」が下がっているのであれば、「新規流入」を構成する要素をまた細分化(リスティング広告、ディスプレイ広告からの流入など)、グラフに起こし各要素を比較、分析します。そこで「リスティング広告」の流入数が低いことがわかれば、これが売上の最大化に対する課題であると特定できるでしょう。

マーケティング課題の抽出に必要なこと(3)マーケティングリサーチ

「マーケティングリサーチ」とは、顧客ニーズや潜在的な課題を探るために必要な情報を収集し分析するための調査のことです。

マーケティングリサーチによって、課題を発見するとともに顧客の声を把握することができます。その結果、より顧客に受け入れられる可能性が高い商品やサービスの開発、より受け入れられやすい購入方法や興味を引きやすいプロモーションにつながるでしょう。

加えて、マーケティングリサーチの実施は、企画、開発した商品やサービスが顧客に受け入れられず、売上目標に届かない、経営資源を無駄にしてしまうといったリスク回避にもつながります。

マーケティングリサーチは、扱うデータの種類によって大きく「定量調査」と「定性調査」の2つに分けられます。定量調査とは、文字どおり数値などの定量的なデータを集計し、分析するものです。一方で定性調査は、数値では表現できないような感情や行動などをデータとしてまとめ分析するものです。

以下では、マーケティングリサーチの手法例として4つの調査方法を紹介します。

【定量調査】アンケート調査(インターネットリサーチ)

アンケート調査(インターネットリサーチ)は、定量調査の代表的な手段の一つです。複数のアンケート項目を設け、モニターを対象に実施することで顧客ニーズを探ることができます。

これまでは、ターゲット層となり得る調査対象者にアンケート用紙を郵送して調査する方法がとられていましたが、インターネットが普及した現在、WebサイトやSNSを活用するのが一般的です。インターネットを活用することで、スピーディーかつコストを抑えた調査が可能となります。

また、アンケート調査には、広範囲に対して一斉に調査を実施する、その一方で特定の地域に絞って調査を実施するなど、調査範囲を自在に設定できるメリットもあります。加えて、調査対象者の属性を限定することもできるため、条件が難しい希少な調査対象者も見つけやすい点もメリットの一つです。

【定量調査】ホームユーステスト

ホームユーステスト(HUT)とは、新商品や開発途中の商品などを調査対象者の自宅に送付し、使用した感想や評価をデータとして取得する調査方法です。その名のとおり自宅でテストを行うため、普段の生活のなかで試用データを得られることから、実生活に即したニーズの把握につながります。

また、テスト品を使用している間に生じた心理状況の変化などについても、調査対象者に行動日記などを記録してもらうことで把握することが可能です。

評価や感想などはアンケートを用いて集めるのが一般的です。インターネットを活用することで、調査期間終了から調査結果の納品まで迅速に行える点も、ホームユーステストのメリットといえます。

【定性調査】インタビュー

マーケティングリサーチにおけるインタビューは、おもに「グループインタビュー」と「デプスインタビュー」の2つの形式に分けられます。

グループインタビューは、2人以上の調査対象者を集め、座談会形式で特定のテーマに関するインタビューを行います。調査対象者のリアルな声を直接収集できるため、インターネットリサーチなどの定量調査だけでは把握しきれないユーザーの深層心理を把握することが可能です。

さらに、座談会形式での調査となるため、調査対象者同士が互いの意見によって刺激を得ることができます。その結果、1対1では得られない意見や話し合いの展開が期待できるでしょう。

一方デプスインタビューは、インタビュアーと調査対象者が1対1の対話形式でインタビューを行います。1人の調査対象者に集中して話を聞くことができるため、顕在的なニーズや潜在的な行動や心理の深掘りなどパーソナルな情報を得やすいのがメリットです。

また、1対1での対話であれば、お金や病気などのセンシティブなテーマを取り扱うこともできるでしょう。

これらのインタビューは、インタビュー会場での実施だけでなく、オンライン上で実施されるケースも珍しくありません。

【定性調査】訪問観察調査

訪問観察調査は、調査対象者の自宅や職場に訪問し、商品やサービスの使用環境、使用状況を直接観察・把握するものです。

実際の使用環境や使用状況を見ながら調査対象者の意見を直に聞くことができるため、より精度の高いデータ収集が行えるメリットがあります。また、調査対象者や実生活の観察をとおして、実生活のなかに生じるニーズや調査対象者本人も気付いていない潜在的なニーズを見つけることも可能です。

加えて、調査時に調査対象者に許可を得たうえで写真や動画の撮影も同時に行うことができれば、視覚的なデータの回収もできるでしょう。

マーケティング課題の解決に必要な2つのステップ

マーケティング課題の抽出が完了したら、いよいよ課題解決のために何をすべきか検討していきます。課題解決を目指すためには、以下のステップを踏むとよいでしょう。

ステップ1:KPIの設定

KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」のことで、目標達成までの過程における成長度合いの計測や監視のために置く定量的な指標を指します。KPIの設定は、課題の解決に向けた進捗などが把握しやすくなるメリットがあります。

KPIは基本的に数値で設定するのが一般的です。例えば、特定した課題が「リスティング広告の流入数」の場合、各種オンライン広告のクリック数がKPIにあたります。

KPIは課題をもとに設定するほか、なぜ KPIを設定したのか、その理由を明確にする必要がある点に注意が必要です。思いつきで状況に見合わないKPIを設定した場合、課題の解決や目標の達成が困難になってしまう恐れがあります。

ステップ2:KPIに影響している要因の推測

KPIを設定したら、次にどの要因がKPIに影響を与えているのか推測し、仮説を立てていきます。例えば、課題やKPIをもとに、値下げやキャンペーンなどの内部要因が影響しているのか、競合のキャンペーンや天候などの外部要因が影響しているのかなどを推測していきましょう。

仮説を立てる際は、担当者自身や担当部署のみで完結するのではなく、チームメンバーや組織外の人と意見交換を行いながら進めていくのがポイントです。多角的に意見を取り入れることで、仮説の範囲を狭めてしまったり、矛盾に気付いていなかったりするリスクを防ぎ、仮説の精度を高めることが重要です。

同時に、仮説とともに「その仮説を実証したらどのような分析結果になるか」という想定まで行っておくとよいでしょう。

マーケティングのよくある課題と解決策

マーケティング課題は多様化しており、企業によって抱える課題はさまざまです。一方で、「顧客が獲得できない」「効果が可視化できず予算獲得が難しい」など、どの企業にも共通し得る課題も存在しています。

ここからは、マーケティングのよくある課題の例を2つ挙げるとともに、その解決策を解説します。

課題1:顧客を効果的に獲得できていない

顧客獲得とは、すなわち「見込み客」を見つけることともいえるでしょう。見込み客とは、自社や自社商品、サービスに興味を持っており、いずれ顧客や利用者となり得る企業や個人を指します。インターネットが普及した現在では、オンラインでどのように顧客を獲得するかが重要です。

ただし、その一方でオフラインでの顧客獲得施策にもいまだ需要があるため、顧客との接点が多様化しているともいえます。オンライン・オフラインいずれの場合でも、顧客獲得に課題を持つ企業は少なくありません。

では、「顧客を効果的に獲得できない」という課題を抱えている場合、どのような解決策を取るべきでしょうか。一例ですが、以下のような解決策が有効となり得ます。

・解決策:ターゲットに合わせたコンテンツを充実させる

接点が多様化するなかで効率良く顧客を獲得するには、ターゲットがよく利用するチャネルは一体何なのかを見極める必要があるでしょう。

例えば、オンラインであればWeb広告やオウンドメディア、動画、アプリ、SNSなどが挙げられます。オフラインの場合は、DMや広告チラシ、展示会やセミナーなどが挙げられます。それぞれのチャネルを活用し、ターゲットが求めるコンテンツを充実させることが、顧客獲得につながるでしょう。

また、競合他社よりも優位に立ちより多くの顧客を獲得するには、コンテンツの「質」が重要です。高品質かつ適切なコンテンツによって、ユーザーの満足度向上に加え高い集客効果も期待できるでしょう。

課題2:効果を可視化できず予算確保につながらない

次に紹介するのは、「マーケティングの効果を可視化することができず、過小評価されてしまう」という課題です。効果が可視化できなければ、なぜ予算が必要なのか、売上に対して施策の貢献度がどのくらい高いかなどの根拠を提示できず、必要な予算確保が難しくなる恐れがあります。

「効果が可視化できず予算確保につながらない」という課題を抱えている場合は、以下のような解決策が有効になり得るでしょう。

・解決策:マーケッティングの効果を可視化する

マーケティングの効果は測りにくいものが多いことも特徴ですが、この効果を可視化できる手法を導入することで、効果をスピーディーかつ高い精度で分析することが可能になります。マーケティング効果を可視化する方法には、「マーケッティング・ミックス・モデリング(MMM)」の手法を用いたものを導入するとよいでしょう。例えば、弊社サイカが提供している「MAGELLAN(マゼラン)」は、このMMMを活用したサービスです。

MMMとは、一つのマーケティング施策が、「売上などの成果に与える影響」や「ほかのマーケティング施策への影響」を定量的に分析する手法です。MMMの特徴は、上記の計測が難しいとされるマーケティングの効果を数値化することが可能な点です。数値という客観的なデータとして可視化が可能になることで、マーケティングの効果や影響に説得力や根拠を持たせることができるでしょう。

また、MMMではオンライン広告はもちろん、効果が見えにくいオフライン広告や広告以外の要素も含めたあらゆる要因の可視化が可能です。MMMソリューションの導入によって、マーケティング施策に予算を確保する根拠を明確に示せるようになるため、課題解決が期待できます。

まとめ

マーケティング課題の解決には、課題が一体何なのかを正しく抽出することが重要です。マーケティング課題の抽出や特定には、内外環境の分析や実データからの特定、マーケティングリサーチなどの手法を用いるとよいでしょう。課題解決を目指す際は、KPIを設定しKPIに影響を与える要素を推測、精度の高い仮説を立てることが大切です。

また、前述のような「マーケティング効果が可視化できず予算確保につながらない」という悩みや、「売上を最大化するための最適な予算配分がわからない」という悩みを抱えている方もいるかもしれません。その場合は、ぜひ弊社サイカのMMMサービスMAGELLAN(マゼラン)」によるサポートもご検討ください。

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